富山県寄附講義「観光概論」で、えちごトキめき鉄道社長の鳥塚 亮氏が講演
11月4日(木)の富山県寄附講義「観光概論」で、えちごトキめき鉄道の鳥塚亮代表取締役社長が「ローカル鉄道を上手に使って地域活性化」と題した講演をされました。鳥塚氏は、2009年に公募で千葉県のいすみ鉄道の社長に就任され、2019年には北陸新幹線開業後に新潟県内の並行在来線を引き継いだえちごトキめき鉄道の社長に就任されました。
講演の前半では、いすみ鉄道時代を振り返られました。着任時には沿線人口が減り観光客もいなかったが、列車は商品と考え、女性向けの「ムーミン列車」や男性向けの旧型気動車キハ52などを走らせて集客を図ったこと、それによって地域に人が集って地域住民やファンが考えたイベントも盛況になり、地域にお金が落ちるようになったことなどを話されました。
後半では、えちごトキめき鉄道での取り組みについて話されました。社長就任直後には台風被害に遭い、その後もコロナ禍、大雪と続けて災禍に見舞われたなかで、JRで姿を消した夜行列車を走らせたり、「雪月花」に地元の人を1,500円で体験乗車してもらったりするなど「体験型コト商品」に力を入れられました。また2021年にJRで廃車予定だった急行型車両を買い取って走らせたところ、能生駅での停車時間に地域の人たちが笹寿司やカニ飯などを売るようになったことや、廃車直前で生き延びた車両の中に神社を作ったり、何十年も鉄道を支えてきた線路の古い玉石を「線路の石の缶詰」として売り出したりするなど、商品に「ストーリー」をつけることの大切さについても語られました。
鳥塚氏にはさまざまな話題についてユーモアを交えながら語ってくださり、90分の講演時間があっという間に感じるほど、聴衆全員が聴き入っていました。末筆ながら、お忙しい中お越しいただいた鳥塚氏に厚く御礼申し上げます。