富山県寄附講義「コロナ後を環境福祉学からどうとらえるか」が開催されました
2021年11月11日、現代社会学部「環境デザイン特別講義」の授業として、炭谷 茂 氏から「コロナ後を環境福祉学からどうとらえるか」と題した講義テーマに従い、コロナ後の社会へ環境福祉学からどのようにアプローチするかという視点で日本のあるべき姿について講義を頂いた。講義は3部構成となっており、第1部:環境福祉学とはなにか、第2部:新型コロナへの環境福祉学からのアプローチ、第3部:新型コロナ後のあり方となっている。
まず環境福祉学について環境問題と福祉国家の限界の視点から実情の解説があり、両者を融合させた「環境福祉学」の概念を説明された。環境学的な側面としては地球温暖化を中心に、公害や、温暖化対策としてのEV導入にもふれその問題点について指摘された。福祉学的な側面としては新自由主義に基づく社会問題を挙げてその反省に基づきながら、北欧やドイツにみられる環境福祉先進的な福祉国家を説明され、いまだ立ち遅れている日本における環境と福祉の両立について指摘された。続いて第2部では新型コロナの蔓延における環境福祉学からみた問題について指摘された。まず新型コロナの世界的な被害状況は特に環境の劣悪な国や地域で大きくことを挙げて貧困と環境との関連性に着目した。さらに国内に目を向け、最近の子どもの生育環境の変化、特に自然とのふれあいと健全な成長との関連について事例を交えた解説があった。特にコロナによって外出や外遊びの機会が減少したことによる、子どもの育成環境の悪化を指摘された。以上をふまえながら第3部では新型コロナ後に向けたアプローチとして日本における環境福祉学的な対策について提言があった。ここでは、家族と触れあう「在宅医療体制」の再構築と、特に子どもや高齢者等の弱者を排除しない社会的包摂の推進、さらにはとりわけ子どもの生育に着目し、自然環境とのふれあいによる農福連携の手法の有効性などについて解説された。
炭谷氏の長いご経験に基づく大所高所からのご指摘と提言の全体を捉えることは難しいことではあるが、学生たちはそれぞれの視点から心に響いた点を感想として述べていた。